MDSAPとは

MDSAP(Medical Device Single Audit Programの略)は、オーストラリア、ブラジル、カナダ、日本、アメリカの5か国の規制当局の規制要求事項に対する製造業者のQMSの適合性および妥当性を、認定された調査機関による1度の調査で確認するプログラムです。

重要なポイント

カナダでは、2019年1月1日以降、これまでのCMDCASからMDSAPに完全移行しており、カナダで医療機器を販売する企業の場合、MDSAPを必ず受審・認証を受けなければなりません。

MDSAPの特徴

  • 一度の調査で5か国の規制要件への適合性が調査される
  • 5か国共通の要求事項に対する重大な不備が発見された場合、調査機関から5か国に対し当該不適合が報告される
  • 場合によってはFDAからWarning Letterが送られてくる可能性がある
  • for cause査察が行われる等の可能性もある

注意点

初年度にグレード4、5に等級付けされた不適合を次回監査までに是正できていない場合、加点ルールに従ってさらに高い不適合グレードを付与されてしまいます。つまり、1年目はかろうじて監査をクリアしたとしても、次回調査で当局報告レベルに達する不適合判定を得てしまう可能性があります。

MDSAP調査手順

MDSAPはCompanion Documentをベースにプロセスリンケージに着目した調査が行われます。

Companion Documentとは

13485:2016をベースにし各国の要求事項を追加したMDSAP調査手順書です。Companion DocumentはISO13485の箇条をそのまま記載するのではなく、各要求事項の遵守により達成されるべき状態に製造業者のQMSがあることを確認することを求めています。FDAのQSITに近い査察手順書です。

すなわち、ISO13485等の要求事項の本質を製造業者が理解し、自社のQMSに落とし込んでいるかが調査されます。さらに、プロセスリンケージに沿った調査が行われるため、QMS内のプロセスのつながりを適切に理解しないことには、調査にタイムリーかつ適切に対応することは難しいでしょう。

成功のポイント

MDSAP受審前に、規制要求事項の本質の理解および自社のQMSの理解、自社QMSの不備事項の事前の発見、改善が肝心といえます。

医療機器有害事象及び通知書の報告(CH4)

4.1 有害事象の特定プロセス

MDSAP参加規制当局が定める報告基準を満たす可能性のある機器関連の事象を特定するためのプロセスを組織が用意していることを検証します。規制当局への報告が必要かどうかを判断するために各苦情をレビューする仕組みが苦情プロセスに用意されていることを検証します。組織のプロセスが、当該製品が販売されている各規制当局が要求する時間枠を満たしていることを確認します。

4.1.1 各国固有の要求事項

各参加国特有の要求事項についても適切に対応する必要があります。

4.2 通知書の発行

必要な場合、通知書が規制当局に発行されており、参加規制当局が定める時間枠及び記録管理の要求事項を遵守していることを検証します。

4.2.1 各国固有の要求事項

各参加国における通知書発行に関する固有の要求事項についても遵守が必要です。