セミナー概要

表面のぬれ性制御は、現代の材料科学において極めて重要な技術分野です。特に、撥水・滑水性能の向上は、自動車、建築、電子機器、医療機器など幅広い産業において求められています。

本セミナーでは、単なる静的なぬれ性の理解にとどまらず、動的なぬれ(滑水性)も含めた包括的な理解を目指します。表面の微細構造設計から実用的な処理技術まで、理論と実践の両面からアプローチします。

講師は、表面科学・材料工学の専門家として豊富な研究・開発経験を持ち、最新の研究成果と実用化技術を分かりやすく解説いたします。

学習内容

1. ぬれ性の基礎理論

  • 表面張力とぬれ性の関係
  • Young の式と接触角の物理的意味
  • 表面エネルギーと界面張力の理解
  • 固体表面の heterogeneity が与える影響

2. 静的ぬれ性と動的ぬれ性

  • 静的接触角と動的接触角の違い
  • 前進接触角・後退接触角の測定と意味
  • 接触角ヒステリシス(Contact Angle Hysteresis)
  • 転落角(Sliding Angle)と滑水性の評価

3. 撥水・滑水表面の設計原理

  • Wenzel モデルと Cassie-Baxter モデル
  • 表面粗さと接触角の関係
  • 超撥水表面の作製原理
  • 滑水性を向上させる表面構造設計

4. 親水処理技術

  • 親水性表面の作製方法
  • 超親水表面の応用例
  • 防曇・防汚効果のメカニズム
  • 親水性の持続性向上技術

5. 実用化技術と応用事例

  • 各種基材への表面処理技術
  • 量産化技術と品質管理
  • 耐久性評価と劣化メカニズム
  • 自動車・建築・電子機器への応用

6. 評価・測定技術

  • 接触角測定装置の原理と注意点
  • 転落角測定の実際
  • 表面形状解析技術
  • 耐久性試験方法