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[書籍]【製本版 + ebook版】インクジェットインクの最適化千態万様[進歩版]
インクジェットインクの最適化千態万様[進歩版]
最新のインクジェット技術と材料科学の集大成
インクジェット技術
化学
工業技術
本書の特徴
本書は、インクジェットインク技術の進歩を詳細に解説するとともに、吐出動作と印刷の達成を実現するデバイス、画像処理、定着の技術との相関にも注目しています。前書と合わせて、インクを中心に置いたインクジェット技術の現時点での総覧が可能になりました。
第1章「製品技術の進歩」では、現在市場で稼働している特定の製品の技術を紹介。プリンタ製品として完成され市場で利用されるための諸条件、動作の安定、印刷品質、印刷コスト、環境調和などへの技術者の独自の工夫を詳細に解説しています。
第2章「技術の基礎および歴史的な歩み」では、基礎知識の獲得に重点を置いた解説と、装置や材料が現在と同じ課題を背負ってその歴史的時点での解法を考え抜いた歩みを記述しています。
第3章「顔料および顔料分散」では、企業秘密という制約の下で一般論に終始しがちな顔料分散の分野において、画期的な解説を提供しています。
第4章「インクの乾燥と定着」では、拡大するインクジェットプリンタの用途に対応した、注目の乾燥と定着の技術について詳しく解説しています。
第5章「今後の技術の進歩に注目する技術」では、大学・企業の研究者・技術者による意欲的な試みを紹介し、読者にヒントと勇気を与えます。
目次
第1章 製品技術の進歩
-
第1節 インクジェットインクの画像形成プロセスと諸現象
- はじめに
- 1. (株)リコー製ヘッドの構造と高速印字
- 1.1 Modulated Dot Technology
- 2. 水性顔料インクによる高画質化
- 3. インクの吐出安定性
- おわりに
- 第2節 (株)リコーの高速連続用紙インクジェット・プリンティング・システムの技術
- 第3節 RICOH Pro L5160のレジンインク技術
- 第4節 エコソルベントインクの概要と特徴
- 第5節 LXシリーズプリンター製品の技術
- 第6節 相転移型紫外線硬化インク
- 第7節 UV硬化インクジェットプリンタと3Dへの応用
- 第8節 紫外線硬化型インクの二つの新しい様相
第2章 技術の基礎および歴史的な歩み
- 第1節 Xeroxのユニークなインクジェット技術を2つ紹介 Page-Width Continuous Inkjet and Acoustic Ink Printing
- 第2節 サーマルインクジェットヘッドの吐出設計
- 第3節 視覚特性を考慮したインクジェットプリンタの画像設計
- 第4節 高画質グラフィック出力の歴史と進歩 ~銀塩からインクジェットへ 写真品質プリントの染料技術の進化~
- 第5節 中国におけるデジタル印刷の発展
- 第6節 インクジェット用多孔質層とその応用展開
第3章 顔料および顔料分散
- 第1節 インクジェット用顔料分散
- 第2節 湿式ビーズミルを用いた顔料の分散技術
- 第3節 インクジェット用分散体の粒子径・ゼータ電位測定
- 第4節 樹脂インクにおける機能性樹脂と機能性界面活性剤
- 第5節 インクジェット用水性顔料インクに用いる樹脂の物性とその選択指針
- 第6節 インクジェット用分散剤と印刷前処理剤
- 第7節 テキスタイル用水系顔料インクジェットプリントシステムについて
- 第8節 インクジェット用水性顔料インクの商業印刷への応用 印刷基材 ―プリントヘッド― インクの考察
第4章 インクの乾燥と定着
- 第1節 UV照射装置の現象と将来像
- 第2節 IR装置とインク乾燥・色材の定着
- 第3節 EB(電子線)のコーティング・印刷産業利用
- 第4節 フォトニック・キュアリングの技術とその応用
第5章 今後の技術の進歩に注目する技術
- 第1節 機能性色素の基礎と固体蛍光
- 第2節 量子ドット色変換(QDCC)層用インクジェットインク
- 第3節 インクジェット工業応用分野における各種液材料と安定吐出
- 第4節 「機能するJetting」を実現するGELART JETヘッドと活用の広がり
- 第5節 天然顔料<岩絵具>が持つ意味と新しい価値の創造
監修者が本書をお薦めする理由
本書は前書と同じくしてインク技術の進歩を叙述することを基礎におきつつ、吐出動作と印刷の達成を実現するデバイス、画像処理、定着の技術との相関に注意を払った紹介がなされている。両書によってインクを中心においたンクジェット技術の現時点での総覧が可能になったと言えます。
第1章「製品技術の進歩」は、現在市場にて稼働している特定の製品の技術紹介からなっている。プリンタ製品として完成され市場で利用されるための諸条件、動作の安定、印刷品質、印刷コスト、環境調和などへの技術者の独自の工夫の総体を読み取ることができる。技術課題に対して、手段に広い選択枝があっても製品に仕上げるには一つを選択しなければならない、製品設計活動の背後にあったであろうその過程を想像するならば、設計技術の妙味を追体験できるのである。
第2章「技術の基礎および歴史的な歩み」は、単一のプリンタ製品の技術解説ではなく、基礎に重点をおいた解説はこれさえしっかり読めば基礎知識が獲得できる。歴史に重点を置いた解説は、装置であれ材料であれ現在と同じ課題を背負ってその歴史的時点での解法を考え抜いた歩みが記述された。この章の内容は過去に類例がないものであり、本書が取り上げたことの意義は大きいと自負する。
第3章「顔料および顔料分散」は、インクジェットインクの為の顔料分散というややもすれば企業秘密という制約の下で一般論に終始しがちな顔料分散の分野において、画期的な解説が為された章からなる。どこまでが基礎でどこからが製品設計なのか、という分類は難しいものである。各著者が多面的な様相を持ち、すべてを測定によって特徴づけることが難しい顔料分散体、それを含むインク化学品の技術をしっかり文章にして語る努力をして頂けた。
第4章「インクの乾燥と定着」では、インクジェットプリンタの用途はオフィス、商業・工業に拡大しつつあり、乾燥と定着の技術は注目され続けている。本章の内容はこの技術の中で活動される技術者に、新に活動に入る技術者に、そのどちらにも、十分に役立つ技術記述がなされていると確信できる。他の印刷法と異なり、インクの物性設計自由度+乾燥・定着手段の自由度があるので、技術者にとって工夫のし甲斐があり、結果に大きく反映するテーマである。これがインクジェットの乾燥と定着の技術なのである。
第5章「今後の技術の進歩に注目する技術」では、プリンタは、印刷の道具であるから、今後にどのような道具が望まれるようになるのか、はここに集緑した課題だけではもちろんないであろう。だが、大学・企業のどちらであってもここに紹介されている研究者・技術者の意欲的な試みは、読者にヒントと勇気を与えるに違いないと思うのである。