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[書籍] 【製本版+ebook版】 リモートアクセスによるモニタリング実装 <タイプ別導入/運用事例・データの真正性確保>
リモートアクセスによるモニタリング実装
<タイプ別導入/運用事例・データの真正性確保>
~臨床業務オンライン化:PMDAリモート調査、リモート監査モデル等~
書籍の概要
タイトル | リモートアクセスによるモニタリング実装<タイプ別導入/運用事例・データの真正性確保> |
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カテゴリ | 医薬品, 臨床試験, モニタリング, リモートアクセス |
配信開始日 | 2021年8月25日 |
フォーマット | 製本版+ebook版(PDF) ※ebook版は、PDF (印刷・データコピー不可) WEBブラウザ上または専用アプリケーション(bookend)より閲覧可能です ※製本版とebook版の内容は同一です |
体裁 | B5 PDF 293頁(ebook版) B5判 並製本 293頁(製本版) |
価格(税込) | 66,000円 定価:本体60,000円+税6,000円 上記価格は書籍(紙媒体)+ebookのセット価格です。 |
アカウント数 | アカウント数:10アカウント ※購入者以外に最大9アカウントまで追加可能(無料) ※購入者を除いた10名様でのアカウント適用を希望の場合は、申込の際の「備考欄(通信欄)」にその旨ご記入ください。 |
ますます需要が拡大するモニタリングを中心とした臨床試験関連業務のリモート化であるが、導入が望まれる一方、費用・リソースの懸念や情報漏洩のリスクの観点等、導入・運用において様々な課題がある
◎どのようにして持続可能なリモートアクセスモニタリングを導入すればいいのか?
◎閲覧データの真正性確保においては、どのような対応や準備が必要とされ、どのような電磁的記録・文書を整備する必要があるのか?
実施にむけた医療機関・治験依頼者双方での連携や導入・運用上の検討課題に迫る!
書籍のポイント
リモートアクセスによるモニタリングの基本的事項からタイプ別の導入事例に加え、閲覧資料・原資料の真正性や個人情報保護の観点、PMDAによるリモート調査の実際、最新のリモート監査等…臨床試験における書類やデータへのリモートアクセスに関する最新技術と課題について各領域の最前線で活躍する著者陣が様々な角度から言及する!
<リモートアクセスモニタリング実施における考え方と導入時の検討事項>
◎リモートアクセスによるモニタリングの考え方◎リモートSDV・リモートモニタリング・リモートアクセスモニタリングの言葉の使い分け
◎リモートアクセスのタイプ別の留意点と医療機関での導入/運用事例
(専用システム、地域連携システム、クラウドシステム活用等、各タイプ別に言及)
<閲覧データの真正性確保、情報セキュリティー>
◎閲覧資料・原資料の真正性の確保とER/ES指針・データインテグリティとALCOA◎臨床現場でのセキュリティと現実的なアプローチ
◎EUのGDPR(一般データ保護規則)・米国のHIPAA法
◎治験業務におけるサイバーセキュリティ保全と方策
<リモート調査・リモート監査等、治験業務オンライン化へ向けて>
◎PMDAでのリモート調査の現状◎リモート監査モデル、企業における電子承認システムの導入事例
◎企業における電子承認システムの導入とその効果
本書出版にあたって
2020年に発生した新型コロナウイルス(COVID-19) によるパンデミックは、医薬品等の開発にも大きな影響を及ぼしました。感染拡大防止のため、医療機関への被験者来院が難しくなり、モニタリング担当者の訪問制限が行われた事例もあったといいます。そのため、モニタリングを中心とした臨床試験関連業務のリモート化の需要が大きく高まりました。国内外の規制当局による査察(適合性調査を含む)も、現地を訪問する実地調査を中止し、電子的な情報共有システムやオンライン会議環境を利用したリモート調査への切り替えが行われました。
このような状況をふまえ、本書では、臨床試験における書類やデータへのリモートアクセス手法に関する最新技術と課題をさまざまな角度からとり上げ、各領域の最前線で活躍する著者陣による解説を加えております。医薬品等の開発従事者の皆さまにとって、さらなるベストプラクティス構築の一助となれば幸いです。
なお、リモートアクセス手法については多様なアプローチがあり、用いられている用語も行為を示すものであったり概念的なものであったりとさまざまで、必ずしも統一されていない現状があります。本書では、これらの用語をあえて統一せず、各著者の表現をそのまま用いることといたしました。また日本CRO協会にご賛同いただき、当協会が提唱する「リモートアクセスモニタリング」の定義も紹介しております。
※本書の作成にあたり、多忙を顧みず寄稿いただいた著者の方々に心より感謝申し上げます。なかでも、井上和紀 氏(エイツーヘルスケア(株))と筒泉直樹 氏(東京大学大学院)のお二人には、企画段階から著者紹介およびご自身による寄稿まで大変お世話になりました。弊社一同深く御礼申し上げます。
※本書出版にあたって、見読性の観点から用語統一を行った箇所、著者の意向を優先し原文そのままの表現とした箇所等ございます。予めご了承ください。
本書の章立て
- 第1章 医薬品医療機器総合機構(PMDA)が実施するリモート調査
- 第2章 リモートアクセスによるモニタリングの考え方
- 第3章 医療機関におけるリモートモニタリング導入/運用事例と懸念事項及び対応
- 第1節 医療機関におけるリモートSDV導入/運用事例:大阪大学医学部附属病院におけるリモートSDVシステム構築事例と見解
- 第2節 医療機関におけるリモートSDV導入/運用事例:地域医療連携システムを利用したリモートSDV
- 第3節 医療機関におけるリモートSDV導入/運用事例:徳洲会グループにおけるリモートSDVの実施
- 第4節 医療機関におけるリモートSDV導入/運用事例:Web会議システムを活用したリモートSDVへの懸念事項と課題
- 第5節 地域医療連携ネットワークシステムを活用したリモートアクセスモニタリング
- 第6節 クラウドシステムを活用したリモートモニタリングの現状
- 第4章 リモートSDVにおける閲覧データの真正性の確保~システムバリデーション及び必要書類の判断~
- 第5章 臨床現場でのセキュリティと現実的なアプローチ
- 第6章 GDPR(EU一般データ保護規則)順守の観点からみたリスク管理
- 第7章 米国のHIPAA法における個人情報の保護及び要求事項
- 第8章 治験業務におけるサイバーセキュリティ保全と方策
- 第9章 GCP領域におけるデータインテグリティ~データの整合性から見た品質管理~
- 第10章 戦略的なリモート監査モデルに関する研究
- 第11章 電子承認システムの導入とその効果
書籍の内容紹介
<本書の中心となる、第2章の内容を一部ご紹介します>
「第2章 リモートアクセスによるモニタリングの考え方 」( 井上和紀 / 著)
「 はじめに 」2020年になり新型コロナウィルス(COVID-19)の感染拡大に伴い医療機関への訪問規制が入るようになり,On-Site でのモニタリングが計画通りに実施することが困難となった。そのため,遠隔から原資料へのアクセス(リモートアクセス)するための検討が活発化してきている。これまでを振り返ってみると,10年以上前よりリモートアクセスの取り組みが行われてきているが,あまり普及はしてきていなかった。その理由としては,医療機関側が主体となって導入することになること,臨床試験におけるシステム導入の考え方が成熟していなかったことが要因として考えられる。これまでリモートSDV という言葉は, “SDV なのか””SDV ではないのか”という点についてはあまり意識せずに使用されてきた。そのため遠隔でモニタリングをすることがリモートSDV という使い方となっていたこともあり,言葉の混乱が出てきている。このような状況下において日本CRO 協会では,SDV,SDR を含むリモートアクセスによるモニタリングを”リモートアクセスモニタリング”とし,言葉の整理を行った。モニタリングの目的は試験により異なるため,本章ではリモートSDV を含む「リモートアクセスによるモニタリング」もしくは「リモートアクセスモニタリング」用語を主に使用し,その考え方について解説をしていく。……(本文へ続く)
「2. 用語の整理」本項では,リモートアクセスモニタリングの考え方に関連する用語について整理する。GCPで使用されるモニタリングに関連する言葉は意外と少なく,モニタリング手法の変遷の中で新しい用語が定義され使用されてきている。その位置付けを整理することでその理解を深めていきたい。なお,本稿を作成する段階において業界から検討された見解も少なく,筆者のこれまでの経験等に基づくものがあることをご容赦いただきたい。……(中略)……このように,GCP 省令については,モニタリングに関する用語として「直接閲覧」「SDV」「中央モニタリング(セントラルモニタリング)」が定義されている。これら用語を何気なく使ってきているが,「リモートSDV」については,SDV なのかリモートモニタリングなのか区別をせずに利用されてきたのが現状である。
そこで,「医療機関側」「依頼者側」「横断的に症例データのモニタリング」「個別データのモニタリング」の4つの要素で便宜上分類してみた。……(本文へ続く)
「3. 個人情報保護と医療機関」リモートアクセスにてモニタリングを実施する上で最も大事にしておきたいのが,医療機関側における個人情報保護に対する考え方である。これを理解することでリモートアクセスにてモニタリングを実施する際の本質的な判断ができるようになると考える。……(中略)……これらを踏まえて,医療機関側では第三者がリモートでの診療情報にアクセスするためには,リモートアクセスの必要性について,病院長,診療情報部等の意思決定者の許可を取った上で初めて臨床試験に応用することができることを知っておきたい。緊急時対応下においてリモートアクセスによる診療記録への閲覧を希望する治験依頼者が増えたが,医療機関における個人情報の取り扱いについて知った上でどのように対応するか,医療機関と十分なコミュニケーションが必要だと考える。
「4. リモートアクセスモニタリングの考え方」……2020年COVID-19の感染拡大に伴う緊急時対応下によりリモートアクセスによるモニタリングが再び注目を浴びるようになったが,言葉の定義が曖昧なためリモートモニタリングなのかSDV を実施するのかコミュニケーションがかみ合わないケースも散見してきた。その理由としては,クラウドサービス及びWebカメラを活用したリモートアクセスでのモニタリングが増えてきた現状がある。……(中略)……FDA からCOVID-19感染拡大における緊急時対応としてのガイダンスが2020年に発出され,その後依頼者側では,リモートアクセスモニタリングに関する手順書の整備及びモニタリング計画の改訂が進んだ。そのため依頼者側からリモートでの取り組みやあらゆる方法を求められるようになり,医療機関側では手順書整備,リソースの調整,SDV なのか事前SDV/ SDR となるのか等混乱が生じていた。実際にCRC との対話の中で訪問制限下において品質を担保するために緊急時対応として対応できることを抽出した。2020年4月緊急事態宣言発令後に少数CRCグループの中で対話をした中で抽出された内容であることをご容赦いただきたい。……(本文へ続く)
「7. リモートアクセスモニタリング Bタイプの事例」……Bタイプは,比較的容易に導入が可能な仕組みであるものの,その仕組みをどのように組み立てていくべきか悩むことが多いと感じている。そこで2015年9月の「第15回CRC と臨床試験のあり方を考える会議2015 in KOBE」での共催セミナー「リモートSDV の活用-汎用性の高いリモートSDV の導入事例-」で筆者が発表した資料より,Bタイプの実装事例を事例として具体的に説明していく。クラウドサービスを利用し,特定した原資料について個人を容易に特定できる情報をマスキングした上で複写物を医療機関へ訪問する前に遠隔から事前SDV として実施した。On-Siteモニタリングにおいて,患者の一致性及びOff-Site にて確認できない内容を中心にSDV を行い,最終的なリモートアクセスで閲覧した情報が相違ない,追加情報がないことの確認を行った上でSDV とした。Off-Site で確認した内容とOn-Site でしか確認できない内容を効果的に組み合わせて生産性を向上することができると考えるため,治験だけに関わらず臨床研究等も含めて汎用性の高い方法である。……(本文へ続く)
<ポイント詳細>
【1】リモートアクセスモニタリング実施における考え方と導入時の検討事項
コロナ禍での緊急時対応下で増加するリモート対応に伴い日本CRO協会で行った言葉の定義を基盤とした用語の整理や、モニタリング手法から見た考え方、製薬協で定義されているリモートアクセスのタイプ等分かりやすく説明。訪問制限下においても品質担保するために対応可能な事項についても、一部のCRCグループ内で対話した内容を著者の見解をふまえて紹介。
◎「遠隔でモニタリングをする」ことが必ずしも「リモートSDV」とはならない
「On Siteモニタリング」「Off Siteモニタリング」「リモートモニタリング」「リモートアクセスモニタリング」「リモートSDV(RSDV)」……昨今のモニタリング手法の変遷の中で多くの関連用語が使用されている一方、GCP省令で定義されている用語は一部にとどまっており業界でも明確な見解が少ない。「リモートSDV」について、SDVなのかリモートモニタリングなのか区別して使用できている?
著者の経験に基づき分かりやすく解説し、モニタリング関連用語の位置づけを再確認!
【2】リモートアクセスのタイプ別の留意点と医療機関での導入/運用事例
リモートアクセスによる情報漏洩のリスクを最小限にした実用的なシステム導入に向け、どういった点に留意すべきか?従来から実施されている専用システム、地域連携システム、クラウドシステムや、昨今のコロナ禍で需要が広がるWeb会議システムを用いたリモートアクセス等、実際の取組み事例を紹介し、リモートアクセスモニタリングの導入の検討の一助けとなるべく内容を提供する。
◎【専用システム活用】
大阪大学医学部付属病院で実施しているリモートSDVについて、医療情報部・治験事務局・AROモニター三者の観点より、リスクを最小限にした上で実用的なシステムを検討・導入した事例を紹介。さらに、全国に多くの実施施設を持つ徳洲会グループ独自のリモートSDV導入・運用の実際・今後の課題を述べる。
◎【地域医療連携ネットワークシステム活用】
地域医療連携ネットワークシステムをリモートアクセスモニタリングにどのように活用すべきか?実施において重要な各データソースの考え方、事前確認すべき事項等、導入時の検討に有用な内容に絞って解説!さらに名古屋医療センターでの電子カルテの拡張機能としての導入事例を紹介し、システム管理側/運用側の双方の視点から現状と課題を述べる。
◎【Web会議システム活用】
昨今のコロナ禍にて急遽実施が開始されたWeb会議システムを活用したリモートアクセスモニタリングについて、北九州市立医療センターにて、費用・リソースが十分でない中にて対応可能な仕組み作りが急務となった実例を紹介!
◎【クラウドシステム活用】
事前準備から手順書整備・治験開始のプロセス等、実際の成功事例を元に具体的に解説。さらにリモートアクセスサービスの提供ベンダーかつCRC双方の経験を持つ著者の観点からクラウドシステムを活用したシステムと実施事例、それらの効果・課題等も紹介。
【3】閲覧データの真正性確保、情報セキュリティーと個人情報保護の考え方
◎記録や電子データの真正性の確保とER/ES指針・データインテグリティ・ALCOA
リモートSDVを実施するにあたり適切なシステムを構築する際、データの真正性を確保するためにはどのような対応や準備が必要とされ、どのような電磁的記録・文書を整備する必要があるのか?関連規制の要求事項をふまえ、リモートSDVシステム運用にあたり必要となる対応を解説。さらにGCP領域におけるデータインテグリティについて、臨床データの品質管理の視点から言及する。
◎臨床現場でのセキュリティと現実的なアプローチ
臨床情報は、個人情報保護法上「要配慮個人情報」に区分される究極の個人情報であり、神経質な取り扱いが必要である一方、管理を厳密にしすぎると業務負担面でもコスト面でも現実的ではなくなる。どのようなバランス感覚をもって対応すれば良いのか?現実的なアプローチを示す!
◎欧米における個人情報の保護及び要求事項(GDPR・HIPAA)
●欧州:【GDPR(EU一般データ保護規則)】主に臨床試験に関わるデータ保護の立場から個人情報を扱う際のリスク管理について言及。順守するための取組み継続には何を行っていくべきなのか,方法論などについて言及。
●米国:【HIPAA(医療保険の移転とそれに伴う責任に関する法律)】医療分野におけるプライバシー法の一部を構成するHIPAAのルールのうち、「プライバシールール」、「セキュリティルール」、「侵害通知ルール」及び「執行ルール」を解説する。
◎治験業務におけるサイバーセキュリティ保全と方策
高度化及び多様化するサイバー攻撃に対するセキュリティ対策は、組織的に対処する必要がある。代表的なサイバー攻撃とその被害とは?さらにR-SDVシステムにおいて取り組むべき情報セキュリティ対策について解説!
【4】治験業務オンライン化へ向けて:リモート調査・リモート監査等
◎信頼性基準適合性調査においてPMDAが実施するリモート調査
信頼性基準適合性調査において, 従来の調査に代わるリモート調査を導入した経緯及びその運用の実際を紹介。リモート調査の流れや根拠資料の留意事項、調査員の意見聴取をふまえた現状の課題や展望等、PMDA職員の観点から言及。
◎治験・臨床研究に実装可能な戦略的なリモート監査モデルに関する研究
「従来の施設訪問型監査と同レベルの監査業務」評価結果が既に得られている新たなリモート監査モデル手法※について、実証までの過程や特定された課題への検討、導入により期待されるメリット等、取組みの詳細に言及!
※本モデルは監査以外の臨床試験・臨床研究プロセスにも適用可能と考えられ、モニタリング活動での施設選定、直接閲覧、重篤な有害事象の報告、施設訪問の同行など、様々な関連業務への水平展開が検討できると思われる。
◎企業における電子承認システムの導入とその効果
テレワーク状況下で急速に受け入れが進んだ企業での電子承認システム導入例について、業務効率化・コスト削減につながった効果と、導入および運用段階に渡っての各種検討及び対応を紹介。導入システムの選定や必要な事前準備、契約時の相手会社への事前合意等、各局面での検討事項にも言及。
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