発刊日 2023年2月21日
体 裁 B5判並製本 171頁
価 格 (税込) 44,000円 (本体40,000円+税4,000円)
発 行 株式会社イーコンプライアンス

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本書の特長

●世界の技術開発・実証プロジェクトの情報がまとまっているため、動向把握・調査資料として最適です。

●グリーン燃料・化学品をさまざまな製造法についてまとめ、そのコストに関する情報を多く掲載しているのが本書の特長です。

●設備・運転・原料価格・効率や輸送費等から試算されている製造コストを整理してまとめていますので各技術の実用面での位置づけ、社会実装への距離感、課題が理解できます。

室井 高城 氏
アイシーラボ 代表

【著者略歴】
1968年 福島工業高等専門学校 工業化学科 卒業 住友金属鉱山(株) 中央研究所配属
1969年 日本エンゲルハルド(株)/現エヌ・イーケムキャット(株) 市川研究所出向
1970年 日本エンゲルハルド(株) 本社営業第一部 化学触媒・自動車触媒の販売に従事
以降同社にて、カスタム触媒開発、公害防止VOC除去触媒開発、Engelhard社(現BASF Catalysts)のProcessのライセンシング、化学触媒事業部長、理事、事業開発部にて燃料電池触媒と新規事業担当部長、Engelhard社(現BASF Catalysts)ポリオレフィン触媒の担当、エヌ・イーケムキャット(株)執行役員、常勤顧問を務める。
2008年 エヌ・イーケムキャット(株)を退社、アイシーラボを設立し、以降工業触媒コンサルタントとして活動

【業界での活動、受賞等】
2005年 触媒学会功績賞を受賞
2006年 触媒学会副会長 早稲田大学客員研究員
2007年 神奈川大学非常勤講師
2014年 NEDO 戦略センター 客員フェロー

【主な著書】
2003年「工業貴金属触媒」JITE社
2008年「工業触媒の劣化対策と再生、活用ノウハウ」サイエンス&テクノロジー社
2010年「エネルギー触媒技術」監修 S&T出版社
2013年「新しいプロピレン製造プロセス」監修 S&T出版社
2013年「工業触媒の最新動向」CMC出版
2013年「シェールガス・オイル革命の石油化学への影響」S&T出版社
2014年「シェールガス革命 “第二の衝撃”」日刊工業新聞社
2017年「触媒からみるメタン戦略・二酸化炭素戦略」シーエムシー・リサーチ社
2020年「触媒からみる二酸化炭素削減対策2020」シーエムシー・リサーチ社
2021年「触媒からみる炭素循環(カーボンリサイクル)技術2021」シーエムシー・リサーチ社

はじめに

地球温暖化による異常気象が世界各地に甚大な被害をもたらし始めている。日本でも毎年のように大型台風が到来している。これら地球温暖化による災害は自然災害ではなく人為的なものであり、GHG(温室効果ガス)をゼロにすることによって防ぐことができる。

GHGゼロに向けて、太陽光・風力発電、燃料電池車、人工光合成による水素製造、バイオマスを用いた燃料や化学品の合成、バイオエタノール・ディーゼル油・メタン・メタノール、アンモニア、MCH、液化水素の輸送、CO2地下貯留など、既に多くの検討が行われ、研究開発に膨大な費用が投じられている。しかし未だ温暖化対策の決め手になる技術は絞られていないないように思える。

日本は2030年までにCO2の排出量を2013年度比48%削減しなければならないが、これにはあと数年しか残っていない。いつまでも可能性の有りそうな技術を、総花的に研究し続けている余裕はない。再生可能エネルギーのコストを見極めた上で、早急に開発ターゲットを明確にしなければならない。

欧州では再生可能エネルギー技術の基礎実験を終了し既に実装段階に入っている。ロシアのウクライナ侵攻によって欧州はエネルギー自給の必要性を認識することになり、自給政策をさらに促進させている。また排出権取引だけでなく炭素税/国境炭素税を導入し、再生可能エネルギーの普及と産業競争力強化を図っている。

エネルギーを海外に頼る日本も国内自給が可能な産業構造に替えなければならない。人工光合成による水素製造は夢の技術であるが、2050年には戦力にならない。地震の多い日本では原子力と同様にCO2の地下貯留も推進すべきではない。それでは何をもって世界と戦うのか、戦える武器は何なのか、上記の通り欧州は既に戦う武器を見つけている。グリーン燃料が、化石資源より安価になるのを待っていてはいつまでも燃料をグリーン化することはできない。バイオマスは汎用ポリマー原料とするのではなくファインポリマーの原料としなければならない。

グリーン燃料・化学品製造に関わる技術開発の最新動向とそれらのコストを解説する拙著が地球温暖化対策技術の開発を促進することに少しでもお役に立てれば幸いである。

目次

第1章 再生可能エネルギー

  • 1. 発電に用いられる再生可能エネルギー
  • 2. 世界の発電に用いられる再エネ能力
  • 3. 再エネ電力
  • 4. 日本の発電コスト
  • 5. 各発電のCO2排出量
  • 6. 再生可能発電コスト
  • 7. 各システムによるエネルギー貯蔵容量
  • 8. 輸送燃料エネルギー比較

第2章 グリーン水素

  • 1. 世界の水素需要推移
  • 2. 2050年の水素需要
  • 3. 水素生産量予測
  • 4. 2050年の水素需要占有率
  • 5. 電解水素
  • 6. ターコイズ水素
  • 7. エネルギーキャリアによる最終発電効率

第3章 二酸化炭素

  • 1. 炭素税と排出量取引制度
  • 2. EUの排出量取引額推移と予測
  • 3. 二酸化炭素の回収コスト
  • 4. DAC(Direct Air Capture)
  • 5. CCSコスト
  • 6. 石炭火力発電所のCO2利用

第4章 アンモニア

  • 1. アンモニア
  • 2. アンモニア合成
  • 3. アンモニア製造時に発生するCO2
  • 4. 高活性アンモニア合成触媒の開発
  • 5. 電解法プロセス
  • 6. 水素キャリアとしてのアンモニア
  • 7. アンモニアによる燃焼
  • 8. グリーンアンモニア
  • 9. アンモニアコスト
  • 10. アンモニア輸送コスト
  • 11. アンモニア市場価格

第5章 メタン・LPG

  • 1. メタン
  • 2. バイオガス
  • 3. グリーンメタンの製法
  • 4. CO2と水素からメタン合成
  • 5. グリーンメタンプロジェクト
  • 6. 日本の合成メタンプロジェクト
  • 7. グリーンメタンコスト
  • 8. グリーンLPG
  • 9. CO2と再エネ水素からのLPGコスト

第6章 エタノール

  • 1. バイオエタノール
  • 2. バイオエタノール価格
  • 3. バイオエチレン
  • 4. バイオポリエチレン

第7章 液体燃料

  • 1. グリーン液体燃料の製法
  • 2. バイオ燃料価格
  • 3. バイオ燃料使用の義務化
  • 4. バイオディーゼル燃料
  • 5. グリーンガソリン
  • 6. 合成燃料
  • 7. 航空燃料
  • 8. FTによる合成燃料コスト

第8章 バイオ化学品

  • 1. バイオナフサ
  • 2. マスバランス方式
  • 3. エチレングリコール(MEG)
  • 4. バイオプロピレン
  • 5. グリセロールの利用
  • 6. 1,3-プロパンジオール
  • 7. 1,4-ブタンジオール
  • 8. 1,3-ブチレングリコール
  • 9. ポリ乳酸(PLA)
  • 10. アクリル酸
  • 11. ブタジエン
  • 12. バイオコハク酸
  • 13. バイオマスから芳香族の製造
  • 14. ポリエチレンフラノエート(PEF)
  • 15. 2,5-ビス(アミノメチル)フラン
  • 16. フルフラール
  • 17. フラン
  • 18. ポリカーボネート
  • 19. ポリヒドロキシアルカノエート
  • 20. バイオマス洗剤
  • 21. バイオナイロン
  • 22. β-ファルネセン
  • 23. スクワラン

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