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[書籍] 半導体製造プロセスを支える 洗浄・クリーン化・汚染制御技術
半導体製造プロセスを支える洗浄・クリーン化・汚染制御技術
半導体デバイスの更なる微細化・高性能化を成し遂げるためのキーテクノロジー
洗浄・クリーン化・汚染制御技術と表面分析・評価手法、最先端の装置開発動向
2022年11月29日
B5判並製本 123頁
33,000円(定価:本体30,000円+税3,000円)
株式会社イーコンプライアンス
無料
本書のポイント/得られる知識
ますます多様化・微細化する異物起因のデバイス劣化を防ぐために、
プロセス間の表面状態を整え、歩留まり向上に寄与する洗浄工程を詳解。
▼半導体製造プロセスの洗浄工程における要素技術と操作の要点を解説
- 多様化する汚れや異物に起因するデバイス劣化メカニズム、現状の対策とその課題
- 高精度な洗浄を行うために押さえておくべき要素と操作、具体的な洗浄法の設計・工程例
- 枚葉式/バッチ式など、洗浄方式別の洗浄装置内における諸現象の理解・活用とトラブル対策
- スプレーや超音波の活用など、物理的洗浄技術の開発動向とその課題、次世代に向けた技術開発
▼極限まで微細化する異物に対応する汚染制御・クリーン化技術と清浄度を担保する表面分析・評価手法
- 異物(不純物)のウェハ表面への吸着挙動と、ウェハ表面の微量分析・測定技術
- クリーンルーム環境のモニタ技術、今後のクリーン化技術動向およびその課題
- 半導体プロセス中の様々な固液界面反応から生じる汚染例、濡れ特性など表面現象の評価手法
- 先進的な研究事例として、エバネッセント光を活用したナノスケール現象の可視化技術を紹介
▼半導体産業を支える装置メーカーが解説する、最新の装置開発動向とその特徴、今後の展望
- シリコンウェハ基板製造からデバイスの微細化・高集積化やSiCなど次世代基板に対応する新技術、性能向上に向けた独自の技術開発や、低コスト・低環境負荷に向けた取り組みまで、最新の装置開発動向をSCREEN社、芝浦メカトロニクス社、ダルトン社、カイジョー社、MTK社の実務担当者が解説。
概要
【目次抜粋】
- 第1章 半導体デバイス製造プロセスを支える洗浄技術
- 第2章 半導体デバイス製造プロセスにおける物理的洗浄技術
- 第3章 半導体デバイス製造プロセスにおけるクリーン化・汚染制御技術
- 第4章 半導体デバイス製造プロセスを支える表面分析・評価技術
- 第1節 固液界面反応/現象により創成される半導体表面の極限評価技術
- 第2節 エバネッセント光によるナノスケール現象の可視化技術と半導体洗浄プロセスへの応用(仮題)
- 第5章 半導体デバイス製造プロセスを支える洗浄装置の開発動向
- – 半導体テクノロジーの進化を最前線で支え続ける – SCREENが誇る半導体洗浄装置
- – 高品質なシリコンウェーハ基板製造に寄与する – 芝浦メカトロニクスの枚葉式洗浄装置
- – 高効率・ハイスループットでR&Dから製造現場までフォローする – ダルトンのリフトオフ装置と性能向上に向けた独自機能
- – 微細パーティクルを効率的に除去する超音波技術 – カイジョーの超音波洗浄機
- – 低コスト・低環境負荷な洗浄プロセスを目指す – MTKの洗浄装置と薬液技術
各章の内容紹介 <本文抜粋>
「第1章 半導体デバイス製造プロセスを支える洗浄技術」
諸電子機器の内部において,情報を実際に処理しているのがマイクロプロセッサ,メモリなどの様々な半導体マイクロデバイスであり,その電力を半導体パワーデバイスが制御している。一般に半導体デバイスを製造する際には,半導体結晶の円板(ウエハ)を用意し,その表面に微細な構造の電子回路を作り込む。電子回路とは電子が通って働く場所であるから,それを作る時には電子の動きを阻害する異物,不要な電子軌道や凹凸などを取り除かなければならない。そのために洗浄という操作が必須である。
したがって,半導体デバイス製造における洗浄の目的は,「電子回路が作られる表面を整える」ことにある。具体的には,①不要物(付着物・残留物など)を表面から除去すること,②電子が漏れず働く表面状態を作ること(形状,形態,化学結合状態など),③次の工程まで表面を保護(酸化膜形成など)すること,に整理できる。……(本文へ続く)
「第2章 半導体デバイス製造プロセスにおける物理的洗浄技術」
……近年,洗浄プロセスは,各電子デバイスメーカの大切な製造現場のノウハウとなり,学術的な報告は大幅に減少した.
半導体デバイス製造中の洗浄プロセスにおいて,物理的洗浄は,超音波洗浄,高圧スプレー洗浄,二流体スプレー洗浄,キャビテーションジェット,スクラバー洗浄などで使い分けがされている.流水式超音波洗浄は流水に周波数1MHz以上の超音波を重畳し,異物を除去する方法である.超音波周波数によって除去できる異物のサイズが決定する.高圧スプレー洗浄は,十数MPaで洗浄液を加圧し,微小径のオリフィスから噴霧して洗浄する方法である.扇状に噴霧しノズルを複数個並べることで,大面積をカバーできることからFPDの洗浄に広く使われている.二流体スプレー洗浄は,洗浄液にキャリアガスを衝突させて霧化する方法である.微小液滴の生成が可能であるために半導体デバイスの洗浄工程で広く使われる.またスプレー洗浄の課題としては,素子へのダメージや静電気障害があげられる.これらの課題をクリアする条件を見出すことが電子デバイスの洗浄では重要となる.この章では現在物理的洗浄の考えた方とその例を挙げて説明する.また物理的洗浄での課題を挙げ,その対策についても述べる.……(本文へ続く)
「第3章 半導体デバイス製造プロセスにおけるクリーン化・汚染制御技術」
マイクロエレクトロニクス,ナノエレクトロニクスの時代に突入して以来,半導体集積回路は微細化によって性能,消費電力,容量,コストが驚異的に改善されてきた。これにより歩留低下要因として,パーティクルのみならず金属汚染及び有機無機分子汚染の制御が世代を増すごとに必要となってきた。この傾向は1990年代以降に特に強くなってきた。エレクトロニクスの進化と呼応するようにクリーン化技術が開発されてきた。歩留改善のために制御すべきパーティクルの粒径は益々小さくなり,加えて金属元素,有機分子,無機分子汚染除去も必要となってきたためである。これらの汚染を低減するための施策として,クリーンルームのみならずウェーハ等の材料,薬品,材料ガス,純水の純度向上が必要となってきた。このように,半導体デバイスの開発には汚染制御技術の開発が必須であった。汚染制御技術の発展があったからこそ先端半導体デバイスの開発ができたといっても過言でない。……(中略)
本稿の目的をいくつか挙げると,歩留改善・維持のために各種汚染のデバイス特性を研究してその制御レベル,制御技術及びモニタリング技術を示すことである。さらに最先端デバイス開発におけるクリーン化技術の課題を示し,今後のクリーン化技術の方向性を示すことである。……(本文へ続く)
「第4章 半導体デバイス製造プロセスを支える表面分析・評価技術」
「第1節 固液界面反応/現象により創成される半導体表面の極限評価技術」
半導体製造プロセスでは,ウェット洗浄やリソグラフィープロセス,研磨工程などで様々な固液界面反応を取り扱う。またその結果,半導体表面の溶解,汚染となる異種物質の脱着や濡れ特性(親水性,疎水性)の変化といった表面現象が現れる。上述した固液界面プロセスの性能を評価するためには,得られた半導体表面の状態を正確に把握する必要がある。制御すべき表面状態は,うねり成分を含めた幅広い空間周波数域での構造や,汚染となる異種物質の種類・量など多種多様であり,それぞれに適した計測技術が使われている。一方で,半導体デバイスの最小加工精度がnmスケールに至る今日では,固液界面反応/現象により創成される半導体表面の特性を極限レベルで理解する必要があり,計測評価技術の性能向上が不可欠である。
本節では,近年益々技術レベルが上がり応用範囲も拡がっている二つの表面分析法(走査型プローブ顕微鏡法,X線光電子分光法)に着目する。そして,半導体分野で扱う固液界面反応/現象により創られた半導体表面を原子・分子レベルで計測・評価した例について,解説する。……(本文へ続く)
「第2節 エバネッセント光によるウェット条件下でのナノスケール現象の可視化技術と半導体洗浄プロセスへの応用」
半導体製造分野、ドラッグデリバリー、バイオマーカなどの分野では、液中のナノ粒子が多様に用いられており、近年では、光学部品の性能向上およびナノ粒子を用いた新たな測定手法の発展により、電子顕微鏡に頼らず、ナノスケールにおける現象を非接触(光学的かつ動的)に観測するようになってきている。特に溶液のある工程であるポリシングや洗浄などの工程中の現象観測は、電子顕微鏡観測の条件である真空環境を必要としない光波または音波の利用に限られてくる。しかし、音波は病院で体内を可視化して診査することを想定すると、サブミリメートルまでの時間空間に限られる 。そのためウェット(濡れ)条件下におけるナノスケールの時間空間を可視化するには、光波の応用、いわば光学的手法に絞られていく。……(中略)
そこで本稿では,ウェハ表面近傍で発生し加工されたナノ粒子の洗浄現象を観測するために,洗浄工程を光学系顕微鏡上に再現し,ウェット状態における表面近傍でのナノ粒子剥離・再付着挙動を,洗浄中で反射表面に局在するエバネッセント光によって観測する全反射顕微鏡法を紹介する。……(本文へ続く)
「第5章 半導体デバイス製造プロセスを支える洗浄装置」
当社は、1943年に研究開発型企業として京都で誕生した大日本スクリーン製造(現:SCREENホールディングス)の半導体製造装置事業会社である。長年培った「表面処理・直接描画・画像処理」の3つのコア技術を応用展開し、1970年代に半導体製造装置市場に参入して以来、常にお客さまに寄り添い、最適な技術を最適なタイミングとコストで提供し、半導体業界の発展に寄与し続けてきた。
世界シェアNo.1を獲得し続けている半導体洗浄装置をはじめ、レジスト塗布・現像、熱処理といった表面処理装置や、高速かつ高精度にプロセス品質をチェックする検査・計測装置など、半導体製造プロセスで活躍する装置を開発・製造販売することで、半導体の進化の一翼を担っている。今回は、当社の主力装置である半導体洗浄装置を紹介する。……(本文へ続く)
「- 高品質なシリコンウェーハ基板製造に寄与する – 芝浦メカトロニクスの枚葉式洗浄装置」
シリコンウェーハは半導体デバイス製造において微細な集積回路を形成するための基板として用いられると共に、半導体デバイスの製造工程においては製造装置や製造環境などを管理するためのモニタリング基板やダミー基板としても使用されており、その重要度は極めて高い。
近年の最先端半導体デバイスでは更なる微細化および高性能化が進むのに伴って、基板材料となるシリコンウェーハに対してもより一層の高品質化が求められている。シリコンウェーハ基板製造工程においては加工や研磨等によってシリコンウェーハ上に異物や汚れが付着するが、高品質化のためには異物や汚れとなる微小パーティクルや金属汚染を極めて低いレベルにまで低減および除去する必要があり、これらを低減および除去するための洗浄工程に対しては増々高い洗浄性能が求められている。
芝浦メカトロニクスは、シリコンウェーハ基板製造向けの洗浄装置において豊富な経験と実績があり、ウェーハ1枚1枚に対して高品質な精密洗浄プロセスが可能な枚葉式洗浄装置を複数ラインナップしている。本稿では最先端の洗浄に対応した新型の枚葉式洗浄装置として研磨後洗浄装置SC300-CCシリーズと最終洗浄装置SC300-FCシリーズを紹介したい。……(本文へ続く)
「- 高効率・ハイスループットでR&Dから製造現場までフォローする – ダルトンのリフトオフ装置と性能向上に向けた独自機能」
……ダルトンのリフトオフ装置は、バッチ処理、枚葉処理やバッチ・枚葉の併用した装置などスループットを早めることとメタルの回収の簡易化、回収率の向上、バリが出にくくすることを目的にした装置である。……(本文へ続く)
「- 微細パーティクルを効率的に除去する超音波技術 – カイジョーの超音波洗浄機」
半導体製造工程では非常に多くの洗浄プロセスが存在する。ウェーハそのものを製造する工程でも用いられるし,ウェーハ上の配線工程においても各処理の後には必ず洗浄工程が必要になる。洗浄方法には湿式や乾式を含めて様々な方法があるが,半導体製造工程において超音波洗浄は非常に重要な工程になっている。特に近年はパターンの細線化が著しいため,除去しなければならない異物のサイズが非常に小さくなっている。超音波洗浄はそのような非常に微細なパーティクルに対して効果的な除去能力を持っている。
超音波洗浄の方式としては主にバッチ式洗浄と枚葉式洗浄があり,それぞれの洗浄方式に合わせた超音波洗浄機がある。……(本文へ続く)
「- 低コスト・低環境負荷な洗浄プロセスを目指す – MTKの洗浄装置と薬液技術」
(株)MTKは薬液を主体とした手段を使用して、半導体ウエハ表面の微小なパーティクル、金属コンタミ、有機物を除去するウエット処理装置メーカである。特に、パーティクル性能がバッチ式装置よりも優れている枚葉スピン式専門の装置メーカである。