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[書籍] 国際共同治験とモニタリング~なぜ、この記録は必要か
『国際共同治験とモニタリング』
なぜ,この記録類が必要か/なぜ,このような手順が必要か回答できますか
~「記録のないことは、実施していないこと」 「No Document is No Action」~
本書の特徴
✔ 国際共同治験に関して、これからモニターとして関連知識を習得しようと考えている方、或いは、現在モニターとして、モニタリングに従事しているが、”色々な治験関連記録類が存在するが、何故、これらの記録類が必要なのか””国内治験と違い、何故、国際共同治験では、このような手順が必要なのか分からない”などの疑問を解決し、整理したいと考えている方かに最適です。
✔ 海外の規制当局の査察では、PMDA とは異なる指摘事項も多く挙げられているので、”海外の規制当局の査察の基本的な考え方や運用” を理解する必要もある。海外の規制当局の査察に関してFDA 及びEMAを中心にまとめたので、業務に役立てて下さい。
✔ 欧米の治験業務の実施方法と日本の治験業務の実施方法が異なる主な原因の一つは、 文化や習慣或いは医療環境ではなく、 “規制要件の解釈” と “その運用方法” である。
✔ 具体的なモニタリング業務及び治験関連記録類に関して、”GCP 省令とICH‐GCP の両規定から” “更には海外の規制当局の査察情報”を基に留意すべき点を記載している。
書籍情報
発刊日 | 2017年2月22日 |
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体裁 | B5判並製本 82頁 |
価格(税込) | 11,000円(本体10,000円+税1,000円) |
発行 | サイエンス&テクノロジー株式会社 |
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目次
- 1. 基本用語とその定義並びに解釈
- 1.1 国際共同治験
- 1.2 国際共同治験とICH‐GCP の関係
- 1.3 モニタリングの目的
- 1.4 モニタリング
- 1.5 治験責任医師/治験分担医師とInvestigator/Subinvestigator
- 1.6 実施医療機関(Investigator):治験関連の手順書(SOP)並びに定型書式
- 2. モニタリング活動の構成
- 3. 治験責任医師/実施医療機関の候補選定(Pre-trial Monitoring Visit/Site Selection Visit)
- 3.1 実施医療機関の選定調査内容
- 3.2 FDA Debarment List とDisqualified List
- 3.3 Confidentiality Agreemen(秘密保持に関する合意)
- 3.4 実施医療機関のインフラストラクチャー
- 3.5 臨床検査等の精度管理
- 3.6 治験審査委員会/IRB/IEC の審査資料
- 3.7 履歴書
- 3.8 英訳の履歴書の必要性
- 4. 治験開始前
- 4.1 治験の説明
- 4.2 GCP トレーニング
- 4.3 説明会の記録(議事録/モニタリング報告書等)の保存
- 4.4 治験関連業務の分担リスト
- 4.5 Financial Disclosure by Clinical Investigators(財務情報の開示)
- 4.6 Form FDA 1572(Statement of Investigator)
- 4.7 FDA が要求する書類(変更時の対応)
- 4.8 Monitoring Visit Log/Site Visit Log(モニターの実施医療機関の訪問の証)
- 5. 治験実施中
- 5.1 トレーニング/研修(含:治験の説明会)
- 5.2 電子システムの三文字アルファベット
- 5.3 電子症例報告書の留意事項
- 5.4 治験薬
- 5.5 治験費用の支払い方法
- 5.6 適格な被験者の組み入れ
- 5.7 インフォームド・コンセント/Informed Consent
- 5.8 安全性情報等
- 5.9 原資料の特定
- 5.10 Correspondence と「重要な事項」
- 5.11 Follow-up letter
- 6. 治験終了(中止・中断)時
- 6.1 Close-Out Meeting(治験終了時の会議)
- 6.2 Close-Out Letter
- 6.3 治験関連記録類の管理
- 7. 規制当局による調査/査察
- 7.1 FDA 及びEMA 査察の特徴
- 7.2 3 極(PMDA/FDA/EMA)の調査/査察結果の評価分類
- 8. 英語のモニタリング報告書作成時のポイント
- 8.1 モニタリング報告書作成時のポイント
- 8.2 英語のモニタリング報告書作成時のポイント
- 8.3 まとめ
はじめに
筆者の経験談であるが、約10 数年前にスイス本社の方針により、治験の国際化(いわゆる、国際共同治験)を加速することになり、ご多聞にもれずに日本法人も国際共同治験の一員として、医薬品の国際開発に参加することになった(3 極同時開発)。当時は、とりあえず、本社が作成した標準業務手順書(Standard Operating Procedure)並びにICH‐GCP及びFDA のガイドラインなどを読むことで精一杯であり、内容を十分理解していたかと聞かれたら、今を思えば、答えは”いいえ”である。
しかし、時間の経過と共に国際共同治験の経験を積み重ね、また、会社のグローバルメンバーから色々な情報が得られるようになった結果、SOP の業務内容並びにその手順の背景・根拠となっている規制要件(例えば、ICH‐GCP、CFR part 54、EU Clinical Trial Directive 2001/20/EC)が理解できた。このような経験を経て、「国際共同治験とは」、「ICH‐GCP とGCP 省令4)の違いとは」、「モニターの役割・責務とは」及び「治験責任医師の役割・責務とは」なども理解できた。
このことから、欧米の治験業務の実施方法と日本の治験業務の実施方法が異なる主な原因の一つは、文化や習慣或いは医療環境ではなく、”規制要件の解釈”と”その運用方法”であることが分かった。言い換えると、日本は、日米EU の3 極で合意したICH‐GCP に基づき治験を実施することよりも、むしろ、日本の医療機関の実情を考慮しすぎたことにより運用された独自の治験実施方法である。
基本的には、国際共同治験に従事する治験依頼者、実施医療機関の関係者及びその他の治験関係者は、先ず、国際的な規定・規準(ICH‐GCP、ICH‐E2A 及びALCOA(CCEA)など)を理解した上で、各自の役割・責務に基づいて治験業務を実施する必要がある。
そして、実務的な点より、独)医薬品医療機器総合機構(Pharmaceuticals and Medical Devices Agency)をはじめとして、海外の規制当局(特にFDA/EMA)の査察方針/方法を学ぶことは、有益だと思う。