書籍情報

タイトル:EU GVP Module I/ISO9001要求をふまえたQuality Management Systemの実装と運用

著者:澁谷 孝満 【IRCA認定QMS2015プリンシパル審査員】
(元 中外製薬(株) 医薬安全性本部 安全性推進部 Global PV Quality Manager)

発刊日:2019年6月27日

体裁:B5判並製本+ebook(著作権保護PDF) 105ページ

価格:22,000円(税込)   定価:本体20,000円+税2,000円

カテゴリ:医薬品, ファーマコビジランス, 品質管理, GVP, ISO9001

はじめに

EU GVP Module I-Pharmacovigilance systems and their quality systems(以下,Module Iという)は,Pharmacovigilance(PV)におけるQuality system(以下,品質システムという)に係る要求事項を記したガイドラインであり,公布されて6年になります。

EUに本社または支社を有する製薬企業のPV部門,これらの会社がEUで承認を有する医薬品のLicense partner企業のPV部門,およびこれらの医薬品に係るPV業務の全部または一部を受託する企業は、Module Iの規定に従って品質システムを整備しなければなりません。

しかしながら,未だ品質システムの導入/整備が十分でない組織が少なからずあり,Module Iの要求事項が十分理解されているとは考えられない事例がしばしば見られます。本書では,Module Iが要求する品質システムとその構築について解説します。

なお,Module Iにいう品質システムとは,実質的には品質マネジメントシステムと同等であること,およびModule Iの要求事項からだけでは必要な水準の品質システムの構築/整備をすることは困難であり,ISO9001による補足が不可欠であることから,Module IとConsistentであるISO9001を用いて不足を補完します。また,本書では品質システムに代わって品質マネジメントシステムという語句を用います。

また,本書はできる限り日本以外の組織の方々にも役立てていただきたいと考えています。そのため,日本固有の法令や制度との比較は控えるため,日本の読者には物足りないところがあるかもしれませんが,どうかご容赦いただきたいと思います。

本書の特徴

特徴1:実務の流れに沿った構成の解説で初心者にもわかりやすい

大手製薬企業にて長年PV業務&その指導にも携わった筆者による、PVにおける品質システムの教本。本書は、単なる規制の逐条解説ではなく,Process approachでPVシステム・Processを構築し運用する際の、実際の手順の流れに従った理解しやすい構成となっています。

これからPVシステム・Processを構築し運用する組織はもちろん,すでにこれらを運用している組織も対象に、さらに日本以外の組織の方々にも役立つような観点で、品質システムの根本からわかりやすく解説します。

特徴2:Module I とConsistentであるISO9001を用いて不足を補完

現状では、Module Iだけでは必要な水準の品質システムの構築/整備をすることは困難です。本書ではISO9001による補足をし、それらの共通点・相違点をふまえて、当局から要求される品質システム、構築方法を解説しています。

特徴3:PV監査とCAPA対応の問題解決に有用

PV部門から独立した組織にて行われるPV監査においては、システム及びProcessの有効性やパフォーマンスの評価する力量を備えることが求められますが、現実には、未だにRoot cause分析やImpact評価、CAPAの内容に問題がある事例が数多く見られます。

本書では、CAPAの作成・管理における問題について、筆者が国内外で実施した監査において経験した事例を詳しく紹介しています。

事例の一例:

  • Root cause分析,Impact評価が不十分または不適切,またはその記載が不十分な事例
  • CAPAの内容またはその記載が不十分な事例
  • CAPAの進捗などの遂行管理が実施されていない,または不十分である事例
  • シニアマネジメントのCAPA管理への関与が不十分である事例

目次

  • 第1章 ISO9001およびModule Iの概要
  • 1. ISO規格
  • 2. ISO9001の概要
  •  2.1 品質
  •   2.1.1 要求事項
  •   2.1.2 製品ライフサイクルの観点における品質
  •   2.1.3 顧客の視点から見た品質
  •  2.2 マネジメントおよびマネジメントシステム
  •   2.2.1 マネジメント(システム)と品質マネジメント(システム)
  •   2.2.2 QMS導入の検討
  •  2.3 保証
  •   2.3.1 要求水準の移り変わり
  •   2.3.2 Process approachにおける品質保証
  • 3. Module Iの概要
  •  3.1 Module Ⅰの構成
  •  3.2 PV システムと品質システムの関係
  • 4. ISO9001:2008とModule Iの比較
  •  4.1 ISO9001:2008とModule Ⅰの類似点
  •  4.2 ISO9001:2008とModule Ⅰの相違点
  • 5. 文書化および記録の保管
  •  5.1 文書化
  •  5.2 記録の保管
  • 6. マネジメントレビュー
  • 第2章 PV business management systemの構築および品質システムの構築
  • 1. ミッション,製品,顧客,利害関係者,環境動向
  • (以下略)

本書は、単なるEU GVP Module IおよびISO9001の逐条解説ではなく,極力Process approachでPVシステム,Processを構築し,運用する際の実際の手順の流れに従って構成しています。これからPVシステム,Processを構築し運用する組織だけでなく,すでにこれらを運用している組織も,本書を参考に現在のシステム,Process構造と運用を見直していただければ幸いです。

書籍情報補足

英語版の出版:2020年11月に英語版「Implementation and operation of Quality Management System based on EU GVP Module1/ISO9001 requirements」が刊行されています。海外支社や海外のPV業務委託先での利用に最適です。

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