変更管理の重要性
一旦バリデーションした設備等(設備、機器、装置、コンピュータ化システムなど)は、運用する中でノンバリデーション状態になってしまう。その理由と実施しなければならない事項を解説しよう。
バリデーションが終了した設備に関して、運用時に大切なことは「バリデーション状態を維持する」ことである。
バリデーション状態とは、当該設備等の仕様がユーザの要求仕様を満たしているということである。
設備等の導入プロジェクトにおいては、要求仕様を満たすように設計や構成設定を行う。
一旦、設計や構成設定が終了した設備等は、その仕様が自ら変化することはない。
しかしである。時間とともにユーザの要求が変化するのである。
つまりユーザの要求仕様と設備等の仕様に乖離が生じる。
この状態がノンバリデーション状態である。
そこで必要なのが、設備等の仕様を常に最新のユーザの要求仕様に合わせる必要性がある。
つまり変更管理が重要になるわけだ。
変更管理の目的の一つは、バリデーション状態の維持であることに留意することが大切である。
一般にユーザ要求の変更は以下の事象により発生する。
- 規制要件の変更
- 規制要件の解釈の変更(査察時の指摘等に基づく)
- ユーザ業務(プロセス、製品等を含む)の変更
また変更のトリガーには以下の4種類が存在する。
- Corrective(欠陥の修正)
- Adaptive/Business(適用/業務)
- Adaptive/Technical(適用/技術)
- Perfective(改善)
Correctiveは故障やソフトウェアのバグなどの際に発生する。
Adaptiveはまさにバリデーション状態の維持である。ユーザの業務が変更するのに伴い機能の変更等を実施する(Adaptive/Business)。
また部品等のディスコン(製造中止)に伴いハードを入れ替えたり、OSのUpgrade(例:WindowsXP)などが相当する。
Perfectiveはより性能を高めたり操作性を向上させるために実施する。
変更管理の重要性を今一度認識されたい。