【ワンポイント】CAPAが必要な品質問題とは

CAPAが必要な品質問題とは

筆者がCAPA(是正処置・予防処置)に関するセミナーを実施する際にしばしば「どのような品質問題に関してCAPAを実施するべきか」という質問を受けることがある。

その回答は、再発防止を行わなければならない事象である。CAPAの目的は、改善すなわち再発防止である。したがって、医薬品や医療機器の品質に対する影響が大きいと判断される場合は、CAPAを実施するべきである。

しかしである。ハインリッヒの法則というものがある。これは1件の大き な事故・災害の裏には、29 件の軽微な事故・災害、そして その裏には 300 件のヒヤリ・ハット(事故には至らなかったもののヒヤリとした、ハッとした事例)があるとされる法 則のことである。 別名1:29:300 の法則とも呼ばれる。
300 件もの軽微なヒヤリ・ハットを見逃すと、いずれ 29 件の事故につながる。29 件の事故を放置すると、1件の重 大な事故につながるという法則なのである。

一つの著名な事例がある。2004 年 3 月、六本木ヒルズで、 6歳の男の子が回転ドアに挟まれて死亡した。 六本木ヒルズは、2003 年 4 月のオープン直後から、回転 ドアでの事故が多発し、死亡事故までの1年の間に、報告さ れただけでも 32 件もの事故があったということである。
これはまさしくハインリッヒの法則である。 軽微な事故が頻回したことが分かった時点で、六本木ヒル ズは何らかの処置をとるべきであったのである。 それを放置したために、起こるべくして起きた事故と言え るのである。

つまり、軽微な品質問題であったとしても頻回している場合には、CAPAを実行する必要があるのである。
そのためには、統計的手法により、繰り返している軽微な品質問題に関する情報を収集しておかなければならない。
例えば、1ヶ月間に同じ軽微な苦情が3回繰り返している、軽微な逸脱が同じプロセスで3回繰り返しているなどである。

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