【ワンポイント】改善について

改善について

「カイゼン」という日本語は世界でも通用するt単語である。
1970年代に日本車が米国を席巻した。その理由は日本車は米国車に比べて価格が安いが故障が少ない。にもかかわらず燃費も良いのである。
これを脅威に感じた米国の3大モータースは、日本の品質管理について徹底的に研究をした。
その結果、学んだのはトヨタ自動車の「改善システム」だったのである。

この改善が海を渡って米国流にカスタマイズされた。
カスタマイズされた改善のためのシステムがCAPA(Corrective Action and Preventive Action)である。
日本語では、是正処置・予防処置と呼ばれる。

欧米と日本ではマネジメントの方法が異なる。
欧米のマネージャの役割は自部門のスタッフが適切に仕事を実施しているかを管理することである。
その為には手順書の作成が必須である。
そもそも、作業を実施する要員は通常は手順書を読まない。
自動車を運転する際に運転教則本を読みながら運転しないのと同じである。
つまり手順書は管理(マネージメント)するために必要なのである。

日本においてはマネージャの役割は、他部門との折衝や調整にある。
自部門の要員は自らの業務をこなしグループのネットワーク(協力体制)によって業務を遂行する。
したがって、日本の企業では手順書は必ずしも必要なく、品質の高い製品を開発・製造ができてきたのである。

しかしである。医薬品や医療機器業界ではグローバルスタンダードに従った品質システム(または品質管理システム)の導入が必須である。
日本産まれの「カイゼン」がシステム化された途端、日本企業はそのインプリメントにおいて迷走してしまっている。
米国FDAは、日本企業の多くがCAPAを知らないと嘆いている所以である。

今後は、ボトムアップ型の日本のマネジメントシステムもトップダウン型の欧米スタイルに移行することが余儀なくされるのである。

これまでの日本企業の利点が失われ、形骸化された手順書と業務内容に翻弄され、品質が向上するどころか劣化することを筆者は懸念する。

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